過ぎたるは

「頭痛だわー」
「寝不足なんじゃないの。疲れてるんだよ」
「いや、むしろ逆。昨日18時間も寝ちゃって」
「18時間!昨日も学校あったよね!? 」
「いやでもほんと後悔ですわ。寝過ぎても寝なさすぎても駄目とか人間の身体不便すぎでしょ」
「食べ過ぎとか空腹とかも駄目だしね」
「過ぎたるは及ばざるがなんとやら、だね」
「『ごとし』だよ。明らか『なんとやら』より文字数少ないよね。
 でも確かに物事って極端になっちゃうと何でも上手くいかないよね」
「やっぱ普通が一番ってことかな。走れメロスでもそう言ってたし」
「いやいや、走れメロスに普通が一番だなんてくだりは一説も登場してないから!」
「ちょっと文学的になってみたかった。しかしあの後メロスはどうなったんだろうか。家族が一人出ていった家の広さに戸惑うのかな」
「王様と同居して羊とたわむれるんじゃない」
「ご乱心かディオニスは」
「でも王は今までの悪事を国民に批難されて、友達のメロスにまで火の粉が飛んできちゃうんだよ」
「ほうほうそれで」
「燃え盛るシラクスを背に走るメロス。そこで一言『やっぱり普通が一番だよ』」
「そこでか。そこで登場するのかそれ」
「なんとか妹夫婦の家に逃げ込んだメロス。そこで一言『妹よ、きみは裸じゃないか』」
「お兄さんいけないとこで入ってきちゃった」
「勇者は赤面した。『やべえエロス』」
「それ言いたかっただけじゃん」